流れ
「今年こそは変わりたい」と意気込んでジムに入会したものの、数週間で足が遠のいてしまった。 「痩せようとして食事を減らしているのに、体重が変わらないどころか体調が悪い」 「膝や腰が痛くて、そもそも運動なんて無理だと諦めている」
もし今、このような悩みをお持ちだとしても、自分を責めないでください。
三日坊主で終わるのは、あなたの「意志が弱い」からではありません。 痩せないのは、あなたの「努力が足りない」からでもありません。
多くの方が挫折してしまう本当の理由。それは、これまで常識だと思われていた根性論やダイエット法が、「脳と身体の仕組み」に科学的に合っていなかっただけなのです。
今日は、トップアスリートから慢性的な痛みに悩む方まで数多くの身体を見てきたトレーナーとして、心理学や運動生理学のエビデンスに基づいたダイエットの「新しい常識」をお伝えします。
1. 運動が続かない真犯人は「脳のガス欠」
真面目な方ほど、「週3回、仕事帰りにこのメニューをこなす」といった完璧な計画を立てようとします。しかし、実はこの「真面目な計画」こそが挫折の元凶です。
心理学には「自我消耗」という概念があります。
【科学の視点】意志力は「有限な資源」である 社会心理学者ロイ・バウマイスターらの研究によると、人間の「意志力」は筋肉と同じように、使うと疲弊する「有限な資源」であることが示されています。 日々、責任ある仕事での判断、親の介護、家庭のマネジメントなど、皆さんの脳(特に意思決定を司る前頭前野)は、生活の中ですでにこの資源を使い果たし、「ガス欠(決断疲れ)」を起こしているのです。
そんなガス欠状態の脳に、「着替えて、準備をして、メニューを考えて…」という新たな決断を迫るのは、科学的に見ても無謀と言えます。
解決策:「考えない仕組み」を作る
私が提案する方法は驚くほどシンプルです。意志力を使わないよう、「思考停止」すること。これに尽きます。
-
前日から準備完了: ウェアを着て寝るくらいの勢いで、朝の準備の手間をゼロにする。
-
動線を固定化: 起きたら水を飲む、顔を洗う、家を出る。これらを自動的なルーティンにする。
-
内容は気分次第: 「今日は散歩でいいや」「ジムに行こうか」。内容は動き出してから決める。
実はトレーナーである私自身、心からトレーニング行為が好きかと言われれば「No」です(笑)。
走りに行くか行かないか考えると、迷ってしまう自分がいます。
今日は寒いし、暑いし、寝不足だし、昨日飲みすぎたし。いろんな言い訳が頭に浮かびます。
だからこそ、有限な意志力を消費せず、歯磨きのように「考えずに身体が動く仕組み」を作ることが、最強の戦略なのです。
2. 「やる気」は待っていても来ない
「やる気が出たら始めよう」と思っていませんか? 脳科学的には、その順番は逆であることがわかっています。
【科学の視点】作業興奮とドーパミン ドイツの精神科医クレペリンが提唱した「作業興奮」という理論があります。脳は、実際に身体を動かし始めることで初めて刺激され、意欲ホルモン(ドーパミンなど)を分泌します。つまり、「やる気があるから動く」のではなく、「動くからやる気が出る」のが脳の正常なメカニズムなのです。
嫌々でも5分だけ散歩をする。すると脳内でドーパミンが出て、「お、意外と気持ちいいぞ」と脳が錯覚し始めます。 最初の「動く」というハードルさえ、考えずに仕組み化して越えてしまえば、ポジティブな感情は後から勝手についてきます。
3. 40代からのダイエット「新常識」
運動の習慣化と共に大切なのが「食事」ですが、ここにも大きな誤解があります。40代の身体に、20代と同じ「カロリー制限」や「糖質制限」は逆効果になりかねません。
① 数字よりも「代謝適応」を恐れる
「食べていないのに痩せない」という現象は、「代謝適応」として研究されています。
【科学の視点】「The Biggest Loser」研究 アメリカの有名なダイエット番組の参加者を追跡した研究(Fothergill et al., 2016)では、急激な食事制限と激しい運動で減量した多くの人が、6年後にはリバウンドしていただけでなく、「安静時代謝(何もしなくても消費するカロリー)」が極端に低下していたことが判明しました。 つまり、過度なカロリー制限は、身体を「省エネモード(飢餓状態)」へと強制的に切り替えさせ、「痩せにくく太りやすい体質」を作ってしまうのです。
50代はただでさえ基礎代謝が落ちる時期。数字合わせに必死になって食事を減らすことは、代謝のエンジンを止める自殺行為です。「しっかり食べて、代謝のエンジンを回す」ことこそが、リバウンドしないための近道です。
② 敵は「炭水化物」ではなく「脂質」かもしれない
「ご飯を抜いているのに痩せない」という方の食事を見ると、圧倒的に「脂質オーバー」であるケースが多いです。
加齢に伴い、身体が脂質をエネルギーとして使う能力(脂肪酸化能力)は低下する傾向にあります。若い頃は分解できた脂っこい食事が、40代では内臓脂肪として蓄積されやすくなるのです。 お米(質の良いガソリン)を少し増やし、その分、揚げ物やバラ肉などの脂質を減らす。これだけで、身体の軽さと燃焼効率が劇的に変わります。
4. 「痛いから安静に」はもう古い?
「膝や腰が痛いから、運動は控えている」。そうおっしゃる方は多いですが、現代のリハビリテーション医学において、その常識は変わりつつあります。
【科学の視点】運動療法と疼痛緩和 慢性的な腰痛や関節痛に対して、長期間の安静はかえって症状を悪化させる(筋力低下や関節拘縮を招く)ことが多くのガイドラインで示されています。 適切な強度の運動は、痛みを抑制する脳内物質(エンドルフィン等)の分泌を促し、血流を改善することで、組織の修復を助けることがわかっています。
もちろん、無茶な運動は禁物です。しかし、「正しく動かすこと」こそが、痛みの根本治療になり得るのです。結果的にダイエットにも有利に働きます。
専門家(アスレティックリハビリテーション)のいる場所へ
ここまで読んで、「理屈はわかるけど、自分の膝や腰の状態に合わせた『正しい動き』なんてわからない」と思われた方もいるでしょう。一般的なジムでは「痛いなら無理しないで」と断られることもあります。痛いから運動やダイエットももう私には関係ない。そんな方も少なくありません。
しかし、LiteraMilita(リテラミリタ)は違います。
私はアメリカで「アスレティックリハビリテーション」を専門に学びました。 これは単なる筋トレではなく、医学的な知識に基づき、怪我や障害からの復帰をサポートする専門分野です。
-
痛みがあるなら、その原因を探り、負担をかけずに機能を回復させる。
-
古傷や持病があっても、それと共存しながら今の身体能力を最大限に引き出す。
「2ヶ月後の減量よりも、1年後、10年後の健康を」
他人と比べる必要はありません。今のあなたの身体にとって、最高に調子が良く、動かしやすい状態を目指しましょう。
運動習慣が身につかないのも、身体の不調も、決して解決できない問題ではありません。 まずは、あなたの「本当はこうなりたい」という想いを、私に聞かせていただけませんか?
「もう歳だから」と諦める前に、ぜひ一度、当ジムの体験パーソナルトレーニングにお越しください。 あなたのこれからの人生を支える「一生モノの身体作り」を、科学的根拠に基づいたアプローチで、一緒に始めましょう。
最新記事 by 武部 紘一郎 (全て見る)
- 筋肉痛がなくても、身体は確実に変わります - 2025年12月2日
- 【40代からのダイエット】意志の弱さでも、年齢のせいでもない。 - 2025年12月1日
- 肩の不調を根本から変える、本物の改善メソッドとは - 2025年11月27日
- すべり症になった母親に伝えた本当に効果が出るエクササイズ【脊柱管狭窄症・すべり症改善】 - 2024年3月22日
- すべり症になった母親に伝えた本当に効果が出るストレッチ【脊柱管狭窄症】 - 2024年2月10日
- 投稿タグ
- ダイエット, ダイエット方法, ママ負担ゼロダイエット法, 減量, 減量期




